日記

十月の寒さに言葉を尽くすのは難しい。冬が来れば十月に震えたことなどすぐ忘れてしまうだろう。しかし今の僕は咄嗟の寒さに晒されてあたたかい服がどうにも欲しいと思っている。悪夢を見ても死んでしまった人を思い出してもあたたかい服さえあれば安心して眠れるのにと、震えながら思っている。しかし、きっとすぐ忘れゆくことなのだ。死んでしまった人と同じ時間に生きていたことも、きっとそう長くは憶えていまい。